元公認会計士受験生のブログ(Mなり)

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2019年6月からの日商簿記試験範囲の改定は会計士を目指す人にとって望ましいのか

年の6月の第152回日商簿記検定から試験範囲が改定されます。

その中でも特に簿記3級の試験範囲が変わります。

 

ちなみに私が簿記3級を受けたのが高校1年の11月(第135回)ですのでもう5年も前になります。

 

あれからどれほどの改訂がなされたのは定かではありませんが、私が受験したころと比べれば、より現代に即した試験範囲になっているといえるでしょう。当たり前ですが。

 

今回は簿記3級の改定の中での重要点を挙げて、それは会計士を目指そうと考えている方にとって有利に働くのかを述べます。

 

 

 

 日商簿記の試験範囲改定(簿記3級)

商工会議所のサイト

https://www.kentei.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2018/03/2019_kaitei1-2.pdf

試験範囲変更区分(出典:商工会議所)

 

大きな変更点

 ①-1資本金や設立

 

一番の大きな変更点としてはやはり、資本金や設立、配当といった会社簿記に必須な勘定科目3級の範囲に加わったということでしょう。

今までの3級の商業簿記は、個人事業主の会計を前提としており、財務諸表というよりもむしろその作成の土台である仕訳帳や総勘定元帳が重視されていました。

 

資本金や配当という概念は会社特有のものであるため、個人事業主の会計では登場しません。

 

今回の改正により、簿記3級も個人事業主を前提とした簿記から、株式会社会計を前提とした簿記への移行がされたことがわかります。

 

①-2 会計士志望者にとって望ましいか

 

会計士はそもそも主に会社を相手にした業務をしているため、その選抜試験も自ずと会社実務に関した会計知識が問われます。

そういった意味ではこの個人事業主の会計から株式会社会計への移行は、これから会計士を目指したいと考えている人たちにとって望ましいでしょう。

 

また早くから会計士受験科目の1つである企業法(会社法)に触れることができるのも良い点です。(資本金計上や配当規制など)

 

 

 

 

その他の変更点

 

 

①消費税や法人税が追加

 

簿記2級また会計士試験の重要論点のうちの1つに税効果会計があります。その耐性をつけるため早いうちに税金に触れるのは望ましいことだと思います。

 

 

そして会計士試験に2次試験では、この消費税や法人税を含む租税法という科目が新たに加わります。

 

②見越、繰延といった文言を削除し、前受や前払、未収、未払に変更

 これは当時勉強していた私にとってもわかりづらく頭を悩ませていた文言だったのでこの改正は会計士志望者だけでなくその他多くの人にとって吉報でしょう。

 

これに繰越とかいう言葉が加わったときは頭がパンクしました。これらの紛らわしい言葉を使って勘定科目を作った人間は頭がおかしいと思います。

 

③固定資産台帳が追加

 正直未知数です。

 

ただこの台帳は、会計士試験合格後の実務でよく出てくるものなので、会計士試験には今のところ出題されないでしょうが早いうちに慣れるのも良いかもしれません。

 

④直接法が廃止

 簿記3級では有形固定資産の減価償却しか出題されないため今回の改正は妥当と言えます。直接法では、減価償却後の金額が記載されるため、帳簿価額(減価償却前の本来の価額)が表示されず、一目でどれだけ減価償却がされたかわからないという有形固定資産にとってはいいとこ無しの表示方法です。

 

そして計算もしにくいです。

 

もう一つの間接法*1と選択適用できるのですが、上記のような欠点会社の実務では直接法はほとんど使われません。

 

ただこの直接法は、簿記2級から加わる無形固定資産の償却方法として重要な役割を果たします。

 

この改正も実務に即した株式会社会計への移行の1つといえるでしょう。

 

 

 

電子記録債権、債務が追加

電子化し高度化した現代社会に欠かせない勘定科目といえるでしょう。

 

 

 

 

最後に

 今回の簿記3級の試験範囲改訂はすべて会計士志望者にとって望ましいのではないかと結論づけます。

 

 

 

簿記3級は基礎的であるがゆえに重要です。

会計士試験を受験しようと考えている方は予備校などに通う前に一度勉強してみてはいかがでしょうか

 

向きか不向きや、会計が楽しいか楽しくないかがわかるはずです。

 

 

 

 

ではまた。

 

*1:帳簿価額を表示しつつ、減価償却後の価額も表示する方法