元公認会計士受験生のブログ(Mなり)

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会計士試験受験生に企業法を紹介⑦

 
どうもこんにちは。
 
 
最近断捨離にはまっているMなりです。
 
深夜テンションとノリではじめた会社法紹介シリーズですが、なんといまのところ一週間もつづいています。
 
継続は力なりのMなりということですかね(?)
 

 

 
 
号、節番号は漢数字のままです。
その他数字(条文番号等)は算用数字に変換しています。
 

 会社法31条~35条

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第31条
 第1項
発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)は、定款を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては、その本店及び支店)に備え置かなければならない。
 
第2項 
発起人(株式会社の成立後にあっては、その株主及び債権者)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めた費用を支払わなければならない。
一 定款が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三 定款が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
 
 
第3項 
株式会社の成立後において、当該株式会社の親会社社員(親会社の株主その他の社員をいう。以下同じ。)がその権利を行使するため必要があるときは、当該親会社社員は、裁判所の許可を得て、当該株式会社の定款について前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
 
親会社社員と言えど、会社法上では、子会社とは別の関係者だと解釈されるため、裁判所の許可が必要です。
この『裁判所』とは、会社の本店を管轄する地方裁判所のことを指します。(868条1項2項)
 
 
 
第4項 
定款が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における第2項第三号及び第四号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっている株式会社についての第1項の規定の適用については、同項中「本店及び支店」とあるのは、「本店」とする。
 
 
第三節 出資
 
32条 

第1項

 発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めがある事項を除く。)を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
一 発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
二 前号の設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
三 成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
 
発起人は一人最低一株の割り当てを受けなければなりません。
 
 
第2項
 設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、前項第一号の設立時発行株式が第108条第3項前段の規定による定款の定めがあるものであるときは、発起人は、その全員の同意を得て、当該設立時発行株式の内容を定めなければならない。
 
第33条 
第1項
発起人は、定款に第28条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるときは、第30条第1項の公証人の認証の後遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。
 
 
前回出てきた、変態設立事項についてです。
変態設立事項は、定款に相対的記載事項として記載された後、その記載内容が(金銭の評価の妥当性など)適切かを検査役が調査する必要があります。
 
 
 
 
第2項
前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
 
第3項 
裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、成立後の株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
 
第4項 
第2項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
 
第5項 
裁判所は、前項の報告について、その内容を明にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第2項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
 
第6項
第2項の検査役は、第4項の報告をしたときは、発起人に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
第7項
裁判所は、第4項の報告を受けた場合において、第28条各号に掲げる事項(第2項の検査役の調査を経ていないものを除く。)を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない。
 
公証人の認証を受けた定款は原則変更ができませんが、33条7項に該当する場合には変更できます。(30条2項)
 
 
第8項
発起人は、前項の決定により第28条各号に掲げる事項の全部又は一部が変更された場合には、当該決定の確定後1週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる。
第9項
前項に規定する場合には、発起人は、その全員の同意によって、第7項の決定の確定後1週間以内に限り、当該決定により変更された事項についての定めを廃止する定款の変更をすることができる。
第10項
前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。
一 第28条第一号及び第二号の財産(以下この章において「現物出資財産等」という。)について定款に記載され、又は記録された価額の総額が500万円を超えない場合 同条第一号及び第二号に掲げる事項
二 現物出資財産等のうち、市場価格のある有価証券(金融商品取引法(昭和23年法律第二十五号)第2条第1項に規定する有価証券をいい、同条第2項の規定により有価証券とみなされる権利を含む。以下同じ。)について定款に記載され、又は記録された価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合 当該有価証券についての第28条第一号又は第二号に掲げる事項
三 現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人公認会計士(外国公認会計士公認会計士法(昭和23年法律第百三号)第16条の2第5項に規定する外国公認会計士をいう。)を含む。以下同じ。)、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下この号において同じ。)を受けた場合 第28条第一号又は第二号に掲げる事項(当該証明を受けた現物出資財産等に係るものに限る。)
 
会社設立手続きは健全に行われないと会社財産を脅かすおそれがありますが、そのおそれが低い場合は、迅速性が優先されます。変態設立事項というオーソドックスな設立事項から外れたものでも上記のように重要性が低い場合は、検査役の調査が不要になるのです。
 
 
 
11 次に掲げる者は、前項第三号に規定する証明をすることができない。
一 発起人
二 第28条第二号の財産の譲渡人
三 設立時取締役(第38条第1項に規定する設立時取締役をいう。)又は設立時監査役(同条第3項第二号に規定する設立時監査役をいう。)
四 業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
五 弁護士法人監査法人又は税理士法人であって、その社員の半数以上が第一号から第三号までに掲げる者のいずれかに該当するもの
 
 
第34条 
発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。
2 前項の規定による払込みは、発起人が定めた銀行等(銀行(銀行法(昭和56年法律第五十九号)第2条第1項に規定する銀行をいう。第703条第一号において同じ。)、信託会社(信託業法(平成16年法律第百五十四号)第2条第2項に規定する信託会社をいう。以下同じ。)その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。
 
第35条 
前条第1項の規定による払込み又は給付(以下この章において「出資の履行」という。)をすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。
 
会計士試験の論文式試験でたびたび登場する条文です。
上記の、出資の履行を完了することで設立時発行株式の株主となる権利のことを権利株と呼びます。出資の履行で初めて株の所有者となるため権利株の時点では当然株主ではありません。
ここでこの権利株は、株式会社が出資申込者の中から割り当てます。しかし当該権利が会社の意図せざるところで移動すると、会社が予定していた株主との齟齬が生じて設立手続に混乱が生じてしまいます。
 
そのため当該権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗できません。(自分から株主だという法律関係を主張できない。)
ただし、株式会社側からは権利株の譲受人を株主として認めることもできます。
 
 
 
ではまた。